エール!【映画】

LA FAMILLE BELIER
2014年 フランス
エリック・ラルティゴ監督
ルアンヌ・エメラ、カリン・ヴィアール、フランソワ・ダミアン、エリック・エルモスニーノほか

水曜日、竹橋の東京国立近代美術館でゲルハルト・リヒター展を楽しんできた。
私にとってリヒターといえば、『ある画家の数奇な運命』の主人公のモデルだが、90歳を迎えた今年は、世界じゅうで展覧会が開かれているんだとか。
東京では初となるこの個展、1960年代のフォトペインティングからつい最近描かれたドローイングまで、さまざまな年代、さまざまなメディアの作品が揃っていて、なかなかの見応えだった。

印象的だったのはやはり《ビルケナウ》(2014年)とその展示方法。
油彩画バージョンと、同型同大の写真バージョンが対面するかたちで設置され、それらと直行する壁面に〈グレイの鏡〉という作品が展示されている。2バージョンの質感の違いの対比もさることながら、グレイの鏡に映ると同じものに見えるのがまたおもしろい。
この作品、一見するとただの抽象画の連作だが、アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所で隠し撮りされた写真イメージのうえに描かれている。
そのあたりは言われなければわからない。
いや、言われてもわからないのだが、それでもただならぬ不穏さを漂わせていて……

背筋がゾクっとしたのは、美術館ならではのキツい冷房のせいだけではないと思います。

さて、対比といえば、Amazonプライムで観た表題の映画。

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高校生のポーラ(ジョーンズ)は、酪農家の父、母、弟とともに、フランスの田舎町で暮らしている。家族はみな耳が聞こえない。唯一の健聴者であるポーラは、家族のためにあちこちで手話通訳をつとめている。新学期、なんとなく気になっている級友のガブリエルを追ってコーラス部にはいったルビーは、音楽教師トマソンに歌の才能を見出されるが……

前回記事にした『コーダ あいのうた』にオリジナルがあると知り、観てみることにした作品。
ま、本当はこちらを先に見るべきなのだろうが、『コーダ』をつくるにあたってどの部分をどう変えたのかがわかって、とてもおもしろかった。
『コーダ』がおこなった改変のなかでとくに技ありだと思ったのは、主人公一家の家業を農業ではなく漁業にしたことと、主人公のきょうだいを弟ではなく兄にしたこと。
この先、何かを改変することになったら、参考にさせてもらうことにしよう。(何かってなんだ?)

ただ、これは『ディパーテッド』のときも思ったことだが、リメイク作品がアカデミー賞ってのは、なんかちょっとね。

改変といえば、美術館帰りに食べた神保町〈ガヴィアル〉のビーフカレー
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このしみじみしたおいしさに、改変の余地は見当たりません

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