英雄の証明【映画】

قهرمان
2021年 イラン/フランス
アスガー・ファルハディ監督
アミル・ジャジジ、モーセン・タナバンデ、マルヤム・シャーダイ、サレー・カリマイ、サハル・ゴルデュースト、アリレザ・ジャハンディデ、サリナ・ファルハディほか

昨今の私の数少ない楽しみのひとつといえば、毎度おなじみ流浪の番組タモリ倶楽部。
前回の放送は、トリプルファイヤーの吉田靖直さんが11年間の居候生活を「卒業」する話をとりあげていた。
基本的にヒマネタしかやらないタモリ倶楽部だが、過去にこれ以上のヒマネタがあっただろうか? 
感動で目頭が熱くなった。

ちなみに、吉田さんはエッセイがとてもおもしろい。
彼のエッセイの何がすばらしいといってそれは嘘臭さがないところ。
思わず「人はなぜ嘘をつくのか」てなことを考えずにはいられなくなるような透明感がある。

そういう人だから11年も居候できたんだろうね、きっと。

さて、嘘といえば、シネスイッチ銀座で観た表題の映画。

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看板職人のラヒム(ジャジジ)は別れた妻の兄(タナバンデ)から借りた金を返さなかった罪で服役している。そんなある日、ラヒムの恋人(ゴルデュースト)が拾ったバッグに17枚の金貨がはいっていたことがわかる。ラヒムはその金貨を換金して借金の一部を返済すれば、訴えを取り下げてもらえるものと期待して、一時出所の機会を使って義兄に会いに行くが、けんもほろろに断られる。その後、金貨の存在を知った姉に諭されて落とし主に返すことにするが、メディアがそれを善行として取り上げたことで、SNSで反響を呼び……

『別離』や『セールスマン』のアスガー・ファルハディ監督の最新作。
個人的にはいまいちだった前作『誰もがそれを知っている』はスペインを舞台にしたスペイン語作品だったが、本作はイランに戻ってのペルシャ語作品。
ペルシャ語とともにファルハディ・ワールドも復活していた。

過去のファルハディ作品同様、本作にも最後まで謎のままで終わることがいろいろとある。
たとえば、刑務所であったらしい受刑囚の自殺のこととか、金貨を取りに来た女性の正体とか。
そんななか、私が一番気になったのは、ラヒムの息子は、なぜ伯母(ラヒムの姉)の家で暮らしているのかということ。
母親(別れた妻)はどうしているのだろう?
義兄がラヒムをペテン師と呼んで忌み嫌うことと何か関係があるのだろうか?

そうやっていろいろ想像させるのが、ファハルディ監督、実にうまい。
で、そのあたりの謎の深め方に、ラヒムを演じたアミル・ジャジジのイケメンがめちゃめちゃ効いている。
いかにも、こりゃだまされちゃうよなあ、という感じなのだ。

でも、どんな嘘をついてだましたのか、そもそも本当にだましたのか、真相が語られることはない。
すごくモヤモヤする(が、そのモヤモヤがたまらない)。

もうひとつの見どころは、やはり、生活習慣や規則、思考の筋道にみられるイランと日本との差異。
もちろん、同じだなあと感じることもいろいろあって、欧米の映画とは一味ちがうまだらなカルチャーショックがとても楽しい。

ちなみに、人が嘘をつく理由はわりと万国共通な気がします。

吉田さんのご実家は香川の浪打八幡宮というわけで、今日の写真は今年の初詣@雑司ヶ谷鬼子母神で引いたおみくじ
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一人旅はだめだと書いてあるのに、一人旅ばかりしています

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